一人旅ルポルタージュ熱海編

学生最後にやりたいこと。バケットリストに入れていた一人旅に出ることにした。

同じくバケットリストに入っていたスケートボードを片手に青春18切符の旅である。

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最初の目的地、目指すは熱海駅

山手線から東海道本線に乗り換え、青春鈍行旅が始まった。

品川から熱海まで、普通列車で1時間半の道のり。

次第に空腹に苛まれ、意識が遠のいてきた。そういえば朝から何も食べていない。サイダーとミンティアで空腹を紛らわせながら一眠りつくことにした。

 

ウトウトしながら電車に揺られ、二宮あたりまできた。そのあたりから空席が目立ち始め、旅感が出てきた。皆熱海まで行くのだろうか。学生風のカップルと親子連れを除けば皆ひとりだった。

そんなことを考えていたら車窓から海が見えてきた。ああこれが見たかったんだと心臓が速なる。その後何個かトンネルを抜けて湯河原に着いた。ここは町並みが昭和的で惹きつけられた。しかし今日は次の駅、熱海までの旅。またの機会に訪れたい。

 

熱海駅についた。荷物をコインロッカーに預けて身軽になり、スケートボード片手に昼食処は向かった。熱海はもう桜が咲いていた。

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以前から行きたかった喫茶店ボンネット。ハンバーガーが有名だそうで、チーズバーガーとアイスコーヒーを頼む。コーヒーはまさに喫茶店のそれでありハンバーガーとの相性抜群。ハンバーガーはウスターソースで味付けしているようでとてもとても美味しかった。

あまりにも居心地がよかったから食後に本を読むことにした。持ってきていた本はケンリュウの紙の動物園。短編集の一編を読んだのだが、人目も憚らず泣いた。
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お腹も膨らんだところで、海辺へと向かった。

そこでは思い思いに自由な時間を過ごしている人たちがいた。

荷物になりながらも持ってきたスケートボードの出番が遂にきた。広々とした海辺の広場で小一時間練習をした。何度かこけもしたが昨日よりは幾分ましになった気がする。東京の家の周りにはこのように開けた場所がなくとても心地よかった。そこからは熱海城も見えた。

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ここから熱海城までは徒歩とロープウェイで行くらしい。歩道は広く、誰も歩いていなかったから少しボードで移動してみた。とても楽しい。新しいことを始めるドキドキと楽しさを久しぶりに味わった気がする。

ロープウェイに近づいた。秘宝館という怪しい文字が目に付く。かなり推しにしているようだ。ロープウェイの往復乗車券600円を買い、ロープウェイに乗った。満員だった。それでもコロナはどこふく風、若い人が多かったが皆落ち着いた雰囲気だった。この広々とした土地と空気がそうさせているのかもしれない。都会の喧騒にまみれて生きている私には心地よかった。

このロープウェイは日本最短らしく、わずか2分で到着した。駅を降りてすぐ展望台があり、熱海を一望できた。天候は曇りであったが絶景だった。

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そこから熱海城へ。この城は歴史上存在した城でらないが館内全体がアミューズメント施設になっていて非常に楽しかった。1000円の入城料の元は十分取れるから是非行って欲しい。

勿論甲冑や刀剣の展示があり色々学んだ後は春画の展示がある。これが凄かった。展示されているものは複製であるが館内は暗く、アクリル板に映し出された春画が後ろからライトアップされているのである。素晴らしい、非常にエロい。江戸時代も今も全然変わらない。面白かった。

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その後は絵を使った謎謎の展示がある。これがまた難しかった。遊びにきている人は皆真剣に問題に取り組んでいて、その姿勢も微笑ましく居心地がよかった。景品がもらえる難問のクイズもあるのだがこれが難解すぎる。未だに全ての答えはわからない。

 

遂に天守閣についたと思ったらいきなり灰皿が置いてあった。迷わずそこで一服をしたわけであるが、日本で一番うまいタバコが吸える場所だと思う。天守閣からの眺望は勿論最高であり、風が気持ちよかった。

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その後下に降りて行き、足湯に入った。ここは海抜120mの足湯であり、これまた気持ちが良かった。

ここはなんて最高の場所なんだろうか。タオルの自販機で買った100円の手拭いのダサさも最高だった。

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地下のゲームセンターは全て無料で遊べる場所で、2、3のレースゲームをしてお城を後にした。この時ばかりは誰かと一緒に来たかったなと思った。

 

もう少し行きたいところもあったが雨脚も強くなってきたため、宿へと向かうことにした。宿は熱海ではなく、伊東に取っていた。ずぶ濡れで熱海駅まで歩き、電車に乗った。

伊東に着いてチェックインまでの時間を、スイートハウスわかばで過ごした。

ここが本当に美味しいお店で、感動しながら夢中になってソフトクリームの乗ったあんみつを食べた。

本当に美味しかった。果物にアイスをつけて食べるのがこんなに美味しいとは思わなかった。それもそのはず、ソフトクリームは自家製だそうだ。

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宿について一息ついたあと、夕飯を食べに出かけた。特に場所は決めておらず、フラフラ歩いてみることにした。静岡であるし海鮮かなあと思ったり、街角のラーメン屋に行ってみようかとも思ったが急にピザが食べたくなった。今日は一人旅である。全て自分の気持ち次第。心のままに近場のイタリアン、トスカナイタリアンハウスへ向かった。

扉を開けると常連らしき2人のおじさんとお店の方が話し込んでいるところだった。奥の席に座ってメニューを眺めた。ピザとパスタでも食べようかと思っていたのだが、ピザセットというものを見つけ、それを注文することにした。

ミックスピザとサラダ、コーンスープ、デザートとコーヒーまでついて1980円という良心的価格設定に惹かれたのだ。

このサラダとスープがとても美味しくて、ここにきてよかったと思った。クリーム系のドレッシングがとても美味しかった。好物のヤングコーンも嬉しかった。肝心のピザは特筆すべきことはなかったが、丁寧に作ってある味がした。

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宿に戻り、オーナーの方に近場の温泉を教えてもらった。露天風呂は雨が降っていたが、江戸時代の旅人が被っているような傘があり、被りながら露天風呂に浸かった。とても気持ちよかった。

 

あぁ最高の一日を過ごしたなあと家路に着いたそのとき、財布が無いことに気がついた。すぐさま温泉に電話をかけ、確認するとロッカーで見つけてくれた。一安心して取りに向かったのだが、財布を受け取るとお札が全てすられていた。4000円。行く前に1万円を抜いていてよかったと心底思った。

4000円、うぅ、悲しい。しかし脱衣所に忘れた私が悪いのだ。カードや保険証や免許は全てあったから不幸中の幸ではあるが、初めての経験で少し堪えた。

 

悲しいが話す相手もいない。1人晩酌をしながら日記に書いている。ほろ苦い一人旅の1日目が終わった。

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