一人旅2日目。
昨日はなかなか眠れず2時間くらい寝て目覚めたあとはずっと起きてしまった。その理由は昨夜お金をすられたことが大きかった。そのことを考えていると、腕時計が無いことに気がついた。もそもそと布団から這い出し、カバンもスーツケースもひっくり返したが、どこにも見当たらなかった。どうやらお金と一緒に腕時計もすられてしまったようだった。とても悲しかった。大学一年生の時から使っている時計で、ずっと愛用しているものだった。
そんなこんなで睡眠不足で始まった2日目はまず彼女と電話をするところからスタートした。
マルタにいる彼女とは時差の関係でタイミングを合わせないと電話ができないからだ。
そして荷造りを終わらせてホストにおはようと言いに行くと、朝ごはんを作ってくれた。リンゴとバナナとみかんと紅茶。動物園の動物みたいだ。とは言え感謝しなければならない。美味しく頂いた。
朝一で混浴温泉に行こうとしたのだが温泉は11時からだとホテルの人に言われてしまった。朝っぱらからエロいやつだと思われただろうか。
仕方なく宿を後にし、更に山手にあるハトヤホテルに向かった。宇宙船のような外観のホテルは憧れの地であった。しかしロビーで見学していいかと聞くとロビーしかダメだと言われてしまった。喫茶店も利用できないらしい。それとも髭面にスケボー片手に現れたから警戒されたのだろうか。
まあいい。いつの日か宿泊して思う存分楽しむことにする。
その後時間もあったから海辺まで降り、スケートボードの練習をすることにした。小一時間練習をしたが、昨日ほどの成果は得られなかった。お腹も空いてきたため喫茶店に向かった。
訪れた喫茶店は昨夜通りがかったときに気になっていたお店バブルガム。店名を付したバブルガム風パスタをいただいた。このパスタはクリームソースのオリジナルパスタでこってりとしていて美味しかった。
再び混浴温泉へ向かったのだがおじいさんおばあさんばかりで断念。やはりそんなもんだよな。
気を取り直して行きたかった三島の喫茶店でランチを食べることにした。このお店は窓から富士山が一望できるロケーションにあるのだ。
しかし駅に降りてみたらなんとお店まで3kmもあるとわかった。何故事前に調べていなかったのか。
それでも行きたかったから重い荷物を引きずり歩いていくことにした。（バスもあったのだがケチった。そして道中それを後悔した。）誰も歩いていない果てしない道のりを延々と歩いた。風を感じ、空を見上げて、疲れたら富士山を眺めた。新幹線からチラッと見たことしかなかった富士山に圧倒された。
なんとかたどり着いたときは全身汗だくになっていた。ナポリタンとアイスティーを注文し、富士山を眺めた。柔らかなクラシックが流れる店内。貸し切り状態だったこともあり、富士山を独り占めしている気持ちになった。食事中もずっと富士山を眺めた。美術館で素晴らしい絵画を見ている時と同じような気持ちになった。
帰りは大人しくバスで三島駅まで戻った。
次の目的地は富士川駅。この駅は富士山が一番綺麗に見える駅だと聞き、写真を撮るために降車した。
かれこれ2時間くらい富士山を眺めていても飽きない雄大さ。駅には誰もおらず駅前にコンビニすらない田舎の風情だった。30分ほど次の電車を待ちながらホームに座っていた。とても気持ちがよかった。
段々日も暮れてきて、今日の宿を取っている岐阜へと向かった。昨夜あまり寝ていないこともあり、富士川から岐阜まではほとんど寝ていた。
岐阜についた。小雨が降っておりバスで宿まで向かうことにした。バス停からは近かったが夜の岐阜はとても寒かった。駅前の掲示板には5℃と表示されていた。
宿に着いたらオーナーの方がお風呂を入れて下さっていた。有り難かった。
岐阜のお店は閉まるのが早いらしく、夕飯は名古屋で食べることにした。
名古屋で働いている友達を呼び出し、楽しい食事をした。普段一人暮らしをしているから一人旅も寂しくはないだろうと思っていたけど、一日中知らない街で刺激を受け続ける生活は、どこかにアウトプットしたいという欲求に駆られることがわかった。
失敗談を笑って話すことは必要だった。
宿に戻り身支度をしたらすぐ寝てしまった。
こうして2日目が終わった。
